障がい者グループホームとデイサービス、どちらを選ぶべき?|支援内容・費用・自立度で徹底比較

【はじめに】
「障がいを持つ家族が、これから安心して暮らせる場所はどこだろう?」
「一人暮らしも視野に入れたいけれど、少し不安が残る…」
ご本人やご家族にとって、将来の生活の場を考えることは、希望とともに多くの疑問や不安が伴う大きな決断です。
特に、障がい者グループホームとデイサービスは、よく耳にする選択肢ですが、その違いを正確に理解している方は少ないかもしれません。
「どちらのサービスが、本人にとって本当に合っているのだろう?」
「支援内容や費用、自立度など、具体的な違いを知りたい」
この記事は、そんなあなたの疑問や不安に寄り添うために生まれました。
障がい者グループホームの公式サイトとして、私たちは長年多くの利用者様とそのご家族をサポートしてきました。
その経験から、どちらのサービスがどのような方に最適なのか、専門的かつ分かりやすい視点で徹底的に比較・解説します。
この記事を最後まで読めば、障がい者グループホームとデイサービス(生活介護)の違いが明確になり、あなたやあなたのご家族にとって「最良の選択」をするための具体的なヒントが得られるはずです。
1. 障がい者グループホームとデイサービスの基本的な違い
まず、最も大きな違いからご説明します。この2つのサービスは、その目的と提供形態が根本的に異なります。
比較項目 | 障がい者グループホーム(共同生活援助) | デイサービス(生活介護) |
---|---|---|
サービスの目的 | 住まいの提供と、そこでの生活支援 | 日中活動の場の提供 |
サービス形態 | 住居型サービス | 通所型サービス |
サービス提供時間 | 原則として24時間365日(夜間・休日含む) | 平日の日中が中心(9時~16時など) |
主な役割 | 地域での自立した生活を送るための基盤 | 日中の活動、社会参加、心身機能の維持向上 |
障がい者グループホームが「生活の拠点」となる住まいであるのに対し、デイサービスは自宅などから通って日中の活動を行う場所です。例えるなら、グループホームが「家」で、デイサービスは「学校」や「職場」、「習い事」のようなイメージに近いかもしれません。
この基本的な違いを理解することが、適切なサービス選択の第一歩となります。
2. 支援内容の徹底比較
次に、それぞれのサービスで受けられる支援内容について、より具体的に見ていきましょう。
提供されるサポートが異なるため、ご本人が「どのような支援を必要としているか」を考えることが重要です。
2.1 障がい者グループホームの支援内容
障がい者グループホームは、地域社会での共同生活を営む住居です。そのため、支援は「日常生活全般」に及びます。世話人や生活支援員といったスタッフが、利用者一人ひとりの障がい特性や希望に応じて、自立した生活を送れるようサポートします。
【日常生活上の援助】
・食事の提供・支援:栄養バランスを考慮した食事が提供されます。ご自身で調理を希望される方には、そのサポートも行います。
・入浴・排泄の支援:必要に応じて、入浴やトイレの介助、見守りを行います。
・服薬管理:薬の飲み忘れがないよう、声かけや管理のサポートをします。
【家事などの支援】
・掃除・洗濯:共有スペースの清掃や、個人の洗濯のサポートを行います。自立を促すため、一緒にやり方を学んだり、役割分担をしたりすることもあります。
・買い物:日用品や個人の買い物の同行、金銭管理の助言などを行います。
【相談その他の援助】
・生活相談:人間関係の悩みや将来のことなど、生活全般に関する相談に応じます。
・健康管理:日々の健康状態のチェックや、定期的な通院の同行・調整を行います。
・金銭管理のサポート:お小遣い帳のつけ方や、計画的なお金の使い方について助言します。
【社会生活上の援助】
・関係機関との連携:日中活動先(デイサービスや就労支援事業所など)や、医療機関との連絡・調整を担います。
・余暇活動の支援:休日の過ごし方について相談に乗ったり、地域のイベントへの参加をサポートしたりします。
障がい者グループホームの支援内容は、地域の一員として安定した毎日を送り、将来的な自立を目指すためのトータルサポートと言えるでしょう。
2.2 デイサービス(生活介護)の支援内容
一方、デイサービス(生活介護)は、常に介護を必要とする方が対象で、日中の活動の場を提供するサービスです。
主な目的は、利用者の心身機能の維持・向上、社会参加の促進、そして介護を行うご家族の負担軽減です。
【日中活動の提供】
・創作活動:絵画、手芸、音楽など、利用者の興味や関心に合わせたプログラムが提供されます。表現する喜びや達成感を得ることを目指します。
・生産活動:軽作業(部品の組み立て、袋詰めなど)を行い、工賃を得られる事業所もあります。働く喜びや社会参加の意識を高めます。
・レクリエーション:ゲームや体操、季節のイベントなどを通じて、他者との交流を楽しみます。
【身体機能や生活能力の向上のための支援】
・身体介護:食事、入浴、排泄の介助が行われます。グループホームと異なり、日中の活動時間内での支援が中心です。
・機能訓練とリハビリテーション:理学療法士(PT)や作業療法士(OT)などの専門スタッフが、身体機能の維持・回復のための訓練を行います。
・送迎サービス:多くの事業所では、自宅と事業所間の送迎サービスを提供しています。
デイサービスの支援内容は、日中の時間を有意義に過ごし、社会とのつながりを持ち続けるためのサポートに特化している点が特徴です。
3. 費用の詳細比較
サービスの選択において、費用は非常に重要な要素です。ここでは、それぞれのサービスでかかる費用の内訳と、負担を軽減する制度について解説します。
3.1 障がい者グループホームの費用
グループホームでかかる費用は、大きく分けて「障害福祉サービス利用料」と「実費負担分」の2つです。
費用項目 | 内容 | 目安金額(月額) |
---|---|---|
障害福祉サービス利用料 | ホームでの支援(相談や介助など)に対する費用。所得に応じて負担上限額が定められている。 | 0円~37,200円 |
実費負担分 | 家賃 | 20,000円~50,000円[66] |
光熱水費 | 10,000円~15,000円 | |
食費 | 20,000円~30,000円[68] | |
日用品費 | 5,000円程度 |
【ポイント:費用の負担を軽減する制度】
・利用者負担上限額:障害福祉サービスの自己負担は、所得に応じて4つの区分に分けられ、月々の負担上限額が決められています。多くの住民税非課税世帯の方は、自己負担0円で利用されています。
・特定障害者特別給付(補足給付):グループホームに入居する低所得者の方を対象に、家賃の一部(月額最大1万円)が補助される制度です。これにより、家賃負担が大幅に軽減されます。
・自治体独自の補助:お住まいの市区町村によっては、さらに独自の家賃補助制度を設けている場合があります。
これらの制度を活用することで、障害年金や工賃の範囲内で生活されている方がほとんどです。
3.2 デイサービス(生活介護)の費用
デイサービスの費用も、基本的には障がい者グループホームの費用と同じように「障害福祉サービス利用料」と「実費負担分」で構成されます。
費用項目 | 内容 | 目安金額 |
---|---|---|
障害福祉サービス利用料 | 日中活動の支援に対する費用。グループホームと同様に、所得に応じた負担上限額が適用される。 | 0円~37,200円/月 |
実費負担分 | 食費 | 1食あたり500円~700円程度[76] |
創作活動などの材料費 | 実費 | |
交通費 | 実費 |
デイサービスは通所型のため、家賃や光熱水費はかかりません。
サービス利用料については、グループホームとデイサービスを併用した場合でも、世帯の負担上限額は変わらないのが原則です。
つまり、複数のサービスを使っても、自己負担額が青天井に増えることはありません。
4. 自立度別の選択指針
「結局、うちの子にはどちらが良いの?」という疑問にお答えするため、ここでは障がいの程度(自立度)に応じた選択の考え方をご紹介します。
一つの目安として、障害支援区分が参考になります。
4.1 軽度障がいの方(障害支援区分1~2程度)
障害支援区分が比較的低い方は、身の回りのことはある程度ご自身でできるものの、金銭管理や対人関係、緊急時の対応などに不安を抱えているケースが多く見られます。
【障がい者グループホームがおすすめな場合】
「将来的に一人暮らしをしたいが、その前に練習をしたい」
「親元を離れて自立したいが、完全に一人になるのは不安」
「日中は就労継続支援B型などに通っており、生活面でのサポートがほしい」
軽度な方向けのグループホームでは、スタッフが見守りや相談を中心に、利用者一人ひとりの「できること」を増やす自立訓練に力を入れています。
社会生活のルールを学びながら、安心して自立へのステップを踏むことができます。
【デイサービスとの関わり方】
この層の方は、日中の活動の場として就労系のサービス(就労移行支援や就A型・B型)を選ぶことが多いですが、障がい特性によってはデイサービス(生活介護)を利用する方もいます。
グループホームを生活の基盤とし、日中はデイサービスに通う、という組み合わせも可能です。
4.2 中重度障がいの方(障害支援区分3~6程度)
障害支援区分が高い方は、食事や入浴、排泄など、日常生活の様々な場面で常時介護を必要とすることが多くなります。
【障がい者グループホームがおすすめな場合】
「家族の高齢化により、在宅での介護が難しくなってきた」
「日中だけでなく、夜間や休日も支援が必要」
「医療的ケア(喀痰吸引や経管栄養など)が必要」
中重度の方を対象としたグループホームでは、夜間もスタッフが常駐し、24時間体制で手厚い介護を提供します。
また、看護師を配置し、医療的ケアに対応できる事業所も増えています。住み慣れた地域で、家庭的な雰囲気の中で暮らし続けられるのが大きなメリットです。
【デイサービスとの関わり方】
この層の方は、日中の活動場所としてデイサービス(生活介護)を利用することが一般的です。
専門的なリハビリを受けたり、同世代の仲間と交流したりすることで、心身の状態の維持・向上を図ります。
グループホームとデイサービスを併用することで、24時間切れ目のない支援体制を構築することができます。
5. 入居・利用条件の比較
それぞれのサービスを利用するには、一定の条件を満たす必要があります。
基本的な条件を比較してみましょう。
5.1 障がい者グループホームの入居条件
・対象者:原則として18歳以上の知的障がい者、精神障がい者、身体障がい者、難病患者等。
65歳以上でも、特定の条件を満たせば利用可能です。
・障害支援区分:区分1以上の方が対象ですが、事業所によってはより高い区分の方を優先する場合もあります。入居にあたり区分認定が必要です。
・共同生活への適応:他人との共同生活に著しい支障がないことが求められます。ただし、個室が確保されており、プライバシーは守られます。
・受給者証:お住まいの市区町村から「障害福祉サービス受給者証」の交付を受ける必要があります。
5.2 デイサービス(生活介護)の利用条件
・対象者:地域で生活し、常に介護を必要とする方。具体的には以下のいずれかに該当する方です。
障害支援区分が区分3以上の方(50歳以上は区分2以上)
障害者支援施設等に入所していて、生活介護の利用を希望し、地域生活へ移行する方で、障害支援区分が一定の基準を満たす方
・年齢:基本的には18歳以上ですが、児童デイサービスなど、18歳未満を対象とするサービスもあります。
・受給者証:グループホームと同様に「障害福祉サービス受給者証」が必要です。
大きな違いは、デイサービス(生活介護)の利用には原則として「障害支援区分3以上」という明確な基準がある点です。
6. 実際の選択事例とケーススタディ
ここでは、具体的なケースをもとに、どのような方がどちらのサービスを選んでいるのかを見ていきましょう。
6.1 ケース1:軽度知的障がいのあるAさん(25歳)
状況:日中は就労継続支援B型事業所に通っている。身の回りのことはほとんど自分でできるが、金銭管理が苦手で、つい使いすぎてしまう。両親は「将来のために自立してほしい」と願っているが、一人暮らしはまだ不安。
選択:障がい者グループホームに入居。
障がい者グループホームを選んだ結果
生活の基盤をグループホームに置き、安心してB型事業所に通えるようになった。
世話人に金銭管理の相談に乗ってもらい、計画的にお金を使えるようになった。
同じホームの仲間と休日に出かけるなど、交友関係が広がった。
将来の完全な一人暮らしに向けた、良いステップとなっている。
6.2 ケース2:重度身体障がいのあるBさん(40歳)
状況:ご両親と同居し、日中は自宅で過ごすことが多い。食事や移動など、生活全般に介助が必要。本人は「外に出て、何か活動がしたい」という気持ちを持っている。ご両親も高齢になり、日中の介護に負担を感じ始めている。
選択:自宅からデイサービス(生活介護)に通い始める。
デイサービス(生活介護)を選んだ結果
送迎サービスを利用して、週3回デイサービスに通所。
創作活動やリハビリに参加することで、生活にメリハリが生まれた。
同年代の仲間との交流が、大きな楽しみになっている。
ご両親は、Bさんがデイサービスに行っている間、休息をとったり、自分の時間を持ったりすることができるようになった。
7. 両サービスの併用という選択肢
これまで見てきたように、障がい者グループホームとデイサービスは、対立するものではなく、組み合わせて利用することで、より充実した生活を送れる場合があります。
【併用のメリット】
・生活の安定と日中の充実の両立:グループホームで安定した住まいを確保し、デイサービスで日中の活動や社会参加の機会を得る。
・24時間の切れ目ない支援:夜間・休日はグループホーム、平日の日中はデイサービスと、それぞれの専門スタッフから支援を受けられる。
・家族の負担軽減:在宅介護に比べ、ご家族の身体的・精神的負担を大幅に軽減できる。
【併用の際の注意点】
・費用:前述の通り、サービス費の自己負担額は世帯の上限額を超えませんが、グループホームの家賃や食費、デイサービスの食費などがそれぞれかかります。
・連携:グループホームとデイサービスのスタッフが、利用者の情報(健康状態や様子の変化など)を密に共有し、連携できる体制が整っているかどうかが重要です。
8. 家族が知っておくべきポイント
最後に、ご家族がサービス選択をサポートする上で、大切にしていただきたいポイントをお伝えします。
①本人の意向を最大限に尊重する
どのような暮らしをしたいか、将来どうなりたいか。主役はあくまでご本人です。ご本人の気持ちや希望を丁寧に聞き、一緒に考えていく姿勢が何よりも大切です。
②将来の生活設計(ライフプラン)を一緒に考える
「親なきあと」も視野に入れ、5年後、10年後、ご本人がどのような生活を送っているのが理想かを話し合ってみましょう。その上で、今どのサービスを利用することが最善かを判断します。
③見学や体験利用を積極的に活用する
パンフレットやウェブサイトだけでは分からない、事業所の雰囲気やスタッフ、他の利用者さんの様子を知ることは非常に重要です。複数の事業所を見学し、可能であれば体験利用をしてみましょう。
④一人で抱え込まず、専門家に相談する
お住まいの市区町村の障害福祉課や、相談支援事業所の相談支援専門員は、サービス選択のプロフェッショナルです。客観的なアドバイスをもらいながら、最適なプランを一緒に作ってもらいましょう。
【まとめ】
あなたに最適なサービス選択のためのチェックリスト
障がい者グループホームとデイサービス、どちらを選ぶべきか?…
この記事では、支援内容、費用、自立度という3つの軸で比較してきました。
障がい者グループホームは、地域で自立した生活を送るための「住まい」。
日常生活全般のサポートを受けながら、安心して暮らす基盤です。
デイサービス(生活介護)は、自宅などから通う「日中活動の場」。創作活動やリハビリを通じて、社会とのつながりを持ち続けます。
どちらか一方を選ぶだけでなく、両方を併用することで、24時間安心して生活できる体制を築くことも可能です。
最終的な選択は、ご本人の障がいの程度や「どう暮らしたいか」という希望によって異なります。
「もう少し詳しく話を聞いてみたい」
「うちの場合、どちらが合っているか相談したい」
「実際にグループホームの様子を見てみたい」
もしあなたが千葉県内で障がい者グループホームをお探しで、このようなお気持ちを少しでもお持ちでしたら、ぜひ一度千葉SMILEHOUSEにご相談ください。
私たちは、利用者様一人ひとりの個性と希望を尊重し、家庭的で温かい雰囲気の中で、その人らしい自立した生活をサポートすることを使命としています。
経験豊富なスタッフが、あなたの疑問や不安に丁寧にお答えし、最適なプランを一緒に考えさせていただきます。見学は随時受け付けております。
どうぞ、お気軽にお問い合わせください。あなたの新しい一歩を、私たちは全力で応援します。
お電話でのお問い合わせはこちらから
受付時間: 月曜~日曜 8:00~17:00
留守電の場合はお名前とグループホームについてご質問がある旨をお伝えいただけますと、折り返しご連絡させていただきます。

投稿者プロフィール

- スマイルハウスのスタッフ森です。施設内の様子など定期的に投稿していきます。