令和7年度から義務化!「地域連携推進会議」完全ガイド:地域に開かれた事業所づくりとは?

障害福祉サービスを提供する施設やグループホームの運営者の皆さま、"地域連携推進会議”は既に実施されましたでしょうか?

この制度は、令和4年の法改正を受け、運営の透明性確保とサービスの質向上を目的に導入されました 。「また新しい業務が増えるの?」と感じた方もいらっしゃるかもしれませんが、実はこの会議、「地域に開かれた、信頼される事業所」になるための絶好のチャンスなんです!今回は、厚生労働省の手引きに基づき、地域連携推進会議のポイントをわかりやすく解説します。

1. 地域連携推進会議の「4つの目的」

なぜ地域連携推進会議が必要なの?と疑問に思う方もいるでしょう。事の発端は、近年、障害福祉サービスが増える一方で支援の質の確保が課題となっていることから始まりました 。 特に施設やグループホームなどは運営が閉鎖的になりがちなため、時には周囲の方々が気づかないところで問題が生じているというケースも少なくありません。そうした中で、「外部の目」を定期的に入れて透明性を高め、サービスの質を向上させることが求められています 。

以上の理由から、下記4つの目的を達成するために今年度より義務化されるようになったのです。

  • 利用者と地域との関係づくり:日頃から顔が見える関係を気付き、利用者が地域の中でより良い生活を送れるようにします。
  • 地域住民への理解促進:施設や障害のある方への理解を深め、双方向の交流を目指します 。
  • 透明性・質の確保:外部の目を入れることで、運営の適正化を図ります 。
  • 利用者の権利擁護:利用者の思いがサービスに反映されているか、外部視点で確認します 。

2. 【重要】「年1回以上の会議」と「年1回以上の訪問」

地域連携推進会議には、絶対に守らなければならない「回数のルール」があります 。

  • 会議の開催(年1回以上):原則として施設内で対面実施します(オンラインも可) 。
  • 地域連携推進員による訪問(年1回以上):構成員全員が「地域連携推進員」となり、実際に現場を訪問します 。これは、専門家ではない視点からの気づきを得るための重要な仕組みです 。

【グループホーム運営者の注意点】

会議の設置は「指定事業所単位」ですが、訪問は「共同生活住居(ユニット)ごと」に年1回以上行う必要があります 。

例えば、1事業所で2つの住居を運営している場合、会議は1回で済みますが、訪問はそれぞれの住居で1回ずつ(計2回)受け入れなければなりません 。

3. 会議の構成員はどう選ぶ?

地域連携推進会議の目的を踏まえて、会議の構成員は、利用者、利用者家族、地域の関係者、福祉に知見のある人、経営に知見のある人、施設等所在地の市町村担当者などを想定しており、有意義な意見交換ができる人数として5名程度が望ましいとされています。特に以下の3者は、目的達成のために必須の構成員です。

  1. 利用者本人:意思表示が難しい場合は、成年後見人や家族が代理しつつ、本人も同席することが望まれます 。
  2. 利用者家族:多様な視点を入れるため、上記(1)とは別の利用者の家族を選出することが推奨されます 。
  3. 地域の関係者:自治会・町内会、民生委員、商店街、NPO、近隣住民など 。

その他、福祉・経営の有識者市町村担当者などを加えることで、より客観的な助言が得られます。

4. どのような議題を話し合うべきか?

一方的な報告にならないよう、双方向の意見交換ができる議題を設定しましょう 。

  • 施設・地域の連携:障害に関するレクチャー、地域行事の案内 。
  • 透明性・質の確保:利用者の日常生活の様子、経営状況、BCP(業務継続計画)の策定状況 。
  • 権利擁護:虐待防止、事故・ヒヤリハットの報告、利用者の意向アンケート結果 。

特に「事故やヒヤリハットの報告」は、施設側の意識向上だけでなく、地域の方に障害への理解を深めていただく貴重な機会となります。個人情報に配慮しながら、実例を交えて意見交換ができることが望ましいでしょう。

5. 実務上の注意点:個人情報の保護

地域連携推進会議は、会議や施設訪問を通じて、利用者と構成員との顔の見える関係を構築し、利用者の地域におけるより良い生活を推進することを目的としています。しかしどの一方、利用者や利用者の家族の中には、障害があることや、障害福祉サービスを利用していることを地域の方に知られたくないという方もいらっしゃいます。そうした地域との連携を望まない利用者や家族もいるため、プライバシーへの配慮は欠かせません。

  • 事前の意向確認:すべての利用者・家族に対し、会議や訪問の主旨を説明し、意向を確認します。
  • 秘密保持の徹底:構成員には就任時に「秘密保持に関する承諾書」を提出してもらいます。
  • 資料の工夫:個人名が特定されないよう配慮し、必要に応じて会議後に資料を回収します。

6. 【実践】開催準備から開催後までの9ステップ

手引きに基づいた、円滑な運営のためのフローです 。

  1. 構成員の選定:地域の繋がりを広げるため、定期的な交代や段階的な入れ替えも検討しましょう 。
  2. 就任依頼と関係構築:施設見学や地域行事への参加を通じ、快諾いただける関係を築きます 。
  3. 参加承諾書の受領個人情報の秘密保持に関する約束を含めた承諾書を提出してもらいます 。
  4. 日程調整:1ヶ月前までに決定し、年間計画を立てておくと効果的です 。
  5. 場所の確保:施設内が基本ですが、困難な場合は公民館や外部会議室、オンラインも活用可能です 。
  6. 議題の検討:出席者の属性に合わせ、双方向で意見交換できる内容を考えます 。
  7. 資料作成:個人名など個人が特定される情報の記載は厳禁です 。
  8. 会議・訪問の実施:初めての際は「発言しやすい雰囲気づくり」を大切にします 。
  9. 議事録の作成と公表:開催後、速やかに概要をまとめ、ホームページや事業所内掲示で広く公表します 。

地域連携推進会議は地域を「味方」にするチャンス

モデル実施事例では、「地域の方が事業所について回覧板で紹介してくれた」「構成員からの客観的な意見で事業運営の改善につなげられた」「職員のモチベーションが上がった」といった前向きな変化が報告されています 。

通常業務に加えての会議開催は大変かと思いますが、地域連携推進会議を単なる「義務」として捉えるのではなく、地域全体で利用者を支える「応援団」をつくる場としてぜひ有効に活用してください 。次回の記事では、スマイルハウスで昨年11月に開催された地域連携推進会議の詳細について、実際の議事録と共に内容を紹介していきます。

参照:厚生労働省「地域連携推進会議の手引き」https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_41992.html

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スタッフ森
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スマイルハウスのスタッフ森です。施設内の様子など定期的に投稿していきます。