障がい者グループホームの減免制度とは?|利用者が受けられる家賃・生活費のサポートを解説

はじめに:障がい者グループホームにかかる費用、何にいくらかかるの?
障がい者グループホームでの新しい生活を考えるとき、まず気になるのが「費用はどのくらいかかるんだろう?」という点ではないでしょうか。
「自分でも支払えるのかな…」「家族に大きな負担をかけてしまわないかな…」そんな不安を感じるのは当然のことです。
ご安心ください。
障がい者グループホームでは、利用者が安心して生活できるよう、さまざまな減免制度や費用サポートが用意されています。まずは、グループホームでかかる費用の内訳と、その相場について、詳しく見ていきましょう。
1.障がい者グループホームでかかる費用
大きく分けて「家賃」「日常生活費」「障がい福祉サービス費」の3つに分けられます。
①家賃
家賃は、お住まいになるお部屋の賃料です。グループホームの場所(地域)、設備、広さなどによって金額は異なりますが、月額1万円~6万円程度が相場です。都心部では高くなる傾向がありますが、これからご説明する減免制度である「特定障害者特別給付」を利用することで、実際の家賃負担は大きく軽減されます。
②日常生活費
日常生活費には、主に以下のものが含まれます。これらは、一般的な一人暮らしでも必要となる費用です。
食費
1日3食の食費です。多くの場合、食材費や調理費用として月額1.5万円~3万円程度かかります。自炊ができるグループホームでは、食費を抑えることも可能です。
光熱水費
電気代、ガス代、水道代などです。定額制のホームもあれば、使用した分だけ実費精算となるホームもあります。月額5千円~1.5万円程度が目安です。
日用品費
シャンプーや洗剤、トイレットペーパーなどの消耗品費用です。
共益費
施設の維持管理や共用部分の清掃などにかかる費用です。
③障がい福祉サービス費
これは、グループホームで提供される個別の支援サービスにかかる費用です。日常生活の相談援助や、入浴・食事・排泄などの介護、就労支援など、利用者が個別に受ける支援内容に応じて金額が決まります。この費用は、障がい福祉サービス受給者証に記載された「サービス等利用計画」に基づいて計算されます。
「障がい福祉サービス費って、なんだか複雑で難しそう…」と感じるかもしれませんが、ご安心ください。この費用には、ご自身の所得に応じて自己負担上限額が設定されています。この点については、後ほど「高額障害福祉サービス費」の項目で詳しく解説します。
2.家賃の負担を大幅に減らせる!「特定障害者特別給付」とは?
障がい者グループホームへの入居を考える上で、最も重要な減免制度の一つが「特定障害者特別給付」です。これは、障がいのある方が安心して暮らせるよう、国が家賃の一部を補助してくれる制度です。
月額1万円の家賃補助が受けられるって本当?
はい、本当です!。
特定障害者特別給付の支給を受けると、障がい者グループホームの家賃のうち、月額1万円を上限として補助を受けることができます。
例えば、家賃が月額2万円の場合、この制度を利用すれば実質的な家賃負担は月額1万円で済むことになります。この家賃補助は、利用者の家計にとって非常に大きな助けとなります。この制度は、多くの障がい者グループホームで適用されているため、家賃負担の不安を大きく軽減できます。
支給対象となる条件
この特定障害者特別給付は、誰もが受けられるわけではありません。以下の条件をすべて満たす方が対象となります。
グループホームの利用者であること
障がい者総合支援法に基づく共同生活援助(障がい者グループホーム)を利用していること。
低所得であること
住民税非課税世帯や生活保護受給世帯など、低所得に該当する方。
家賃を支払っていること
グループホームの家賃を実際に支払っていること。(生活保護の住宅扶助を受けている場合は、この給付は受けられません。)
これらの条件を満たしている場合、家賃補助が受けられる可能性が非常に高くなります。ご自身の世帯が住民税非課税世帯にあたるかどうかは、役所の窓口で確認できます。
申請方法と手続きの流れ
申請は、お住まいの市区町村の障がい福祉課や福祉事務所で行います。具体的な手続きの流れは以下のようになります。
①相談
まずは、お住まいの市区町村の窓口で相談します。担当の職員が、制度の概要や必要書類について説明してくれます。
②申請
申請書に必要事項を記入し、住民票や所得証明書など、必要書類を提出します。グループホームの利用契約書なども必要になる場合があります。
③審査
提出された書類に基づいて、支給対象であるかの審査が行われます。
④決定・支給
審査に通ると、支給決定通知書が届き、家賃補助が支給されます。支給方法は、直接グループホームに支払われる場合や、利用者の口座に振り込まれる場合があります。
3.「高額障害福祉サービス費」で費用負担を抑える
障がい者グループホームで生活していく中で、もう一つ重要な減免制度が「高額障害福祉サービス費」です。この制度は、障がい福祉サービスの自己負担額が一定額を超えた場合に、その超過分が払い戻される仕組みです。
所得に応じて決まる自己負担上限額
障がい福祉サービス(グループホームのサービス費用を含む)の自己負担額には、所得に応じて「負担上限月額」が設定されています。この上限額を超えて自己負担額を支払った場合、超過分が戻ってきます。
具体的な負担上限月額は、以下の所得区分によって異なります。
・生活保護受給世帯: 自己負担0円
・住民税非課税世帯(低所得): 自己負担0円
・住民税課税世帯:
・一般1(課税所得16万円未満): 月額9,300円
・一般2(課税所得16万円以上): 月額37,200円
・一般(20歳未満で施設に入所している方など): 月額4,600円
この負担上限額があるため、グループホームのサービスをいくら利用しても、ご自身の所得に応じた上限額以上の自己負担は発生しません。
例えば、住民税非課税世帯の方は、サービス利用料がどんなに高くなっても、自己負担は0円になります。これは、障がい者グループホームの減免制度の中でも特に重要なポイントであり、費用面の不安を根本から解消してくれるものです。
グループホームの利用料にどう適用されるの?
高額障害福祉サービス費は、グループホームの利用料のうち、障がい福祉サービス費(日中の活動支援や生活相談など、サービス内容によって異なります)に適用されます。家賃や食費、光熱水費などは対象外なので注意が必要です。
しかし、この制度があることで、特に手厚い支援が必要な方も、経済的な負担を気にすることなく、必要なサービスを安心して利用できるのです。
さらに、この制度は申請手続きが比較的簡単です。
毎月の自己負担額が上限額を超えた場合、市区町村の役所から通知が届き、自動的に払い戻されるケースが多いです。ただし、自治体によっては申請が必要な場合もありますので、確認しておくと安心です。
4.生活保護受給者・低所得者でも安心!利用料の負担をさらに軽くする方法
家賃補助や自己負担上限額について見てきましたが、障がい者グループホームの費用負担をさらに軽くする方法は他にもあります。特に、生活保護受給者や低所得者の方にとって、知っておくべき重要な制度です。
生活保護制度とグループホームの利用
生活保護を受給している方が障がい者グループホームを利用する場合、以下の費用が生活保護費から支払われます。
家賃
住宅扶助として、家賃全額が支給されます。(特定障害者特別給付との併用はできません。)
食費・光熱水費
生活扶助として支給される生活費の中から支払います。
これにより、生活保護受給者の方は、実質的な自己負担なくグループホームを利用することが可能となります。
また、特定障害者特別給付や高額障害福祉サービス費と合わせて考えると、障がい者グループホームの減免制度が非常に手厚いことがわかります。経済的な理由で入居をためらっていた方も、この制度を利用すれば、安心して新しい生活をスタートできます。
その他の公的支援制度
生活保護以外にも、利用できる公的支援制度があります。
障害年金
障害の程度に応じて支給される年金です。基礎年金と厚生年金があり、受給している方は生活費の大きな柱となります。
特別障害者手当
障がいの程度が重度で、日常生活において常時特別の介護を要する方に支給されます。
障害児福祉手当
20歳未満の障がいのある児童に支給されます。
特別児童扶養手当
20歳未満で精神または身体に障がいを持つ児童を監護する父母等に支給されます。
補装具費の支給
義手や義足、車いすなどの購入・修理費用が支給される制度です。
日常生活用具の給付
入浴補助用具や特殊寝台など、日常生活を円滑にするための用具の購入費用が補助されます。
これらの手当や年金を生活費に充てることで、グループホームでの生活をより安定させることができます。それぞれの制度には支給要件がありますので、詳しくは市区町村の窓口でご確認ください。
5.あなたの所得でシミュレーション!負担額の目安
それでは、いくつかのケースで具体的な費用負担額をシミュレーションしてみましょう。あくまで一例ですが、ご自身の状況に近いケースを参考にしてみてください。
ケース1:住民税非課税世帯の方
家賃:50,000円
食費・光熱水費など:40,000円
サービス利用料:30,000円
↓減免制度適用後
家賃: 特定障害者特別給付で10,000円補助 → 実質負担40,000円
サービス利用料: 高額障害福祉サービス費で0円
合計負担額: 80,000円(家賃40,000円+食費・光熱水費40,000円)
ケース2:生活保護受給世帯の方
家賃:50,000円
食費・光熱水費など:40,000円
サービス利用料:30,000円
↓減免制度適用後
家賃: 住宅扶助で全額支給 → 実質負担0円
サービス利用料: 高額障害福祉サービス費で0円
合計負担額: 40,000円(生活扶助から支払う食費・光熱水費など)
ケース3:住民税課税世帯(一般1)の方
家賃:50,000円
食費・光熱水費など:40,000円
サービス利用料:30,000円
↓減免制度適用後
家賃: 特定障害者特別給付の対象外
サービス利用料: 自己負担上限額が9,300円 → 実質負担9,300円
合計負担額: 99,300円(家賃50,000円+食費・光熱水費40,000円+サービス利用料9,300円)
このように、障がい者グループホームの減免制度を利用することで、費用負担は大きく軽減されます。特に、低所得者の方にとっては、安心して生活を送るための強力なセーフティーネットとなります。
6.減免制度やサポートについて、もっと詳しく知りたい方へ
ここまで障がい者グループホームの減免制度について詳しく解説してきましたが、いかがでしたでしょうか。
「自分の場合はどうなるんだろう?」「シミュレーションで示した金額はあくまで目安だよね?」といった疑問や不安が残っている方もいるかもしれません。
ご安心ください。それぞれの状況によって利用できる制度や減免額は異なります。正確な情報やあなたに合ったサポートを知るためには、専門家へ直接相談するのが一番確実な方法です。
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私たちSMILEHOUSEでは、経験豊富なスタッフが、家賃補助や生活費のサポートに関するご相談を丁寧にお受けしています。
「特定障害者特別給付の申請方法は?」「私の所得だと、負担額はどのくらいになるの?」といった具体的な質問にも、個別にお答えし、安心して利用を開始できるようサポートします。
制度の内容は複雑で分かりにくい部分も多いですが、私たちはその一つひとつを丁寧に、分かりやすくご説明いたします。
不安な気持ちを抱えたままにせず、ぜひ一度、私たちにご相談ください。
まとめ:賢く制度を利用して、安心して新しい生活を始めよう
この記事では、障がい者グループホームで利用できる減免制度と、家賃・生活費のサポートについて詳しく解説しました。
①特定障害者特別給付で家賃が補助される
②高額障害福祉サービス費で自己負担額に上限が設けられる
③生活保護や年金などの公的支援も利用できる
これらの制度を賢く利用することで、障がい者グループホームでの生活は、経済的な負担を大幅に軽減することが可能です。
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