障害年金とグループホームは併用できる?知っておきたい制度を解説

「障害年金を受け取っていても、グループホームに入居できる?」
「入居すると年金が減ったり、支給が止まったりしない?」
「年金だけで生活費を払えるのか心配……」

グループホームへの入居を考えるとき、毎月の費用と障害年金の関係は、本人にとってもご家族にとっても気になる問題です。

障害年金の受給と、障害者グループホームの利用は、原則として併用できます。グループホームに入居したことだけを理由に、障害年金が自動的に減額・停止されるわけではありません。

ただし、障害年金の受給要件とグループホームの利用要件は別々です。また、家賃や食費などの生活費は、福祉サービスの自己負担とは分けて考える必要があります。

この記事では、障害年金とグループホームを併用する際の基本、利用できる経済的支援、生活費の考え方、入居までの流れを解説します。大切なペットと一緒に暮らしたい方に向けて、住まい選びの確認事項も紹介します。

※制度・金額は2026年10月時点の情報に基づきます。個別の適用については、市区町村や年金事務所などにご確認ください。

この記事の目次

  1. 障害年金とグループホームは原則として併用できる
  2. 入居すると障害年金は減額・停止される?
  3. 障害年金はいくら受け取れる?
  4. グループホームでかかる費用
  5. 家賃補助・給付金・生活保護
  6. 障害年金だけで住める?収支例
  7. 働きながら併用できる?
  8. 相談から入居までの流れ
  9. ペットと暮らす際の確認事項
  10. よくある質問
  11. 自分に合う暮らしを選ぼう

障害年金とグループホームは原則として併用できる

障害年金は「生活費」、グループホームは「暮らしの支援」

障害年金は、病気やけがによって生活や仕事に制限が生じた場合に、一定の要件を満たす方へ支給される公的年金です。一方、障害者グループホームは、障害福祉サービスの「共同生活援助」に当たり、共同生活の場で相談や日常生活上の援助を受ける仕組みです。

障害年金が経済面を支えるのに対して、グループホームは住まいと生活面を支えます。それぞれ役割が異なるため、要件を満たせば組み合わせて利用できます。

例えば、障害年金を家賃や食費に充てながら、グループホームで生活上の支援を受ける暮らし方が考えられます。

なお、この記事で扱うのは、障害のある方を対象とするグループホームです。介護保険の認知症高齢者グループホームとは制度が異なります。

参考:日本年金機構「障害年金ガイド」/厚生労働省「障害福祉サービスの内容」

入居できることと、年金を受給できることは別

グループホームに入居したからといって、障害年金を必ず受給できるわけではありません。反対に、障害年金を受給していないことだけで、グループホームの利用ができなくなるわけでもありません。

障害年金は、初診日、保険料の納付状況、障害の状態などをもとに判断されます。グループホームは、本人の状況や支援の必要性などを踏まえ、市区町村による支給決定を受けて利用します。

「年金の申請がまだなので相談できない」と考える必要はありません。入居の相談と年金の確認を並行して進め、受給開始までの生活費も含めて検討しましょう。

グループホームに入居すると障害年金は減額・停止される?

入居という事実だけで決まるものではない

障害年金の認定では、住んでいる場所だけでなく、病状や日常生活の状況などが確認されます。

特に精神の障害に関する認定では、支援のある環境で生活が安定している場合も、その背景にある援助の必要性を考慮します。グループホームで暮らせていることが、そのまま「支援なしで生活できる」という意味になるわけではありません。

ただし、入居後も現在の年金額が必ず続くと保証されるわけではありません。障害の状態が変化した場合などは、更新時の審査で等級や支給の判断が変わる可能性があります。

参考:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」等

更新時は「支援があってできていること」を伝える

障害年金の更新で診断書が必要な方は、主治医に日々の生活を具体的に伝えることが大切です。

例えば「薬を飲めています」と伝えるだけでは、本人が一人で管理しているのか、職員の声かけや確認を受けているのかが分かりません。

次のように、支援の内容と頻度を整理しておきましょう。

  • 服薬は毎日、職員の声かけを受けている
  • 食事の準備を一人で続けることが難しい
  • 金銭管理に定期的な確認が必要である
  • 体調が悪い日は、入浴や着替えに促しが必要である
  • 通院や行政手続きに付き添いを受けている

できることを過小評価する必要はありません。同時に、援助を受けてできていることを、支援なしでできることとして伝えないようにします。普段から困りごとをメモしておくと、診察時に説明しやすくなります。

障害年金はいくら受け取れる?生活設計の基本

障害基礎年金と障害厚生年金の違い

障害年金には、主に「障害基礎年金」と「障害厚生年金」があります。どちらが対象になるかは、原則として障害の原因となった病気やけがの初診日に、どの年金制度に加入していたかで変わります。

種類主な対象障害等級
障害基礎年金国民年金加入中に初診日がある方など。20歳前の初診にも一定の仕組みがあります1級・2級
障害厚生年金厚生年金加入中に初診日がある方1級・2級・3級

障害厚生年金の額は、加入期間や過去の報酬などによって異なります。また、障害年金の等級と障害者手帳の等級は、同じ基準ではありません。手帳の等級だけで年金額を判断しないようにしましょう。

2026年度の障害基礎年金額

2026年度の障害基礎年金は、次のとおりです。

等級年額月額換算の目安
1級1,059,125円約88,260円
2級847,300円約70,608円

※昭和31年4月2日以後生まれの方の金額です。子の加算は含みません。月額換算は年額を12で割った参考値で、実際の振込額とは異なります。年金額は年度によって改定されます。

年金は、原則として偶数月の15日に、前2か月分が支払われます。入金された金額をその月に使い切らず、翌月の家賃や食費も確保することが大切です。

参考:日本年金機構「障害基礎年金の受給要件・請求時期・年金額」/日本年金機構「年金はいつ支払われますか。」

グループホームでかかる費用は大きく2種類

福祉サービスの自己負担

グループホームの費用を調べる際は、まず「福祉サービスの自己負担」と「暮らしに必要な実費」を分けます。

障害福祉サービスの自己負担には、所得などに応じた月額の上限があります。生活保護受給世帯や市町村民税非課税世帯は、原則として負担上限月額が0円です。

一方、グループホーム利用者が市町村民税課税世帯に該当する場合は、原則として上限37,200円の区分になります。一般の障害福祉サービスで見かける「上限9,300円」の区分は、グループホーム利用者には適用されない点に注意が必要です。

18歳以上の障害者について、所得判定に用いる世帯の範囲は、原則として本人と配偶者です。親の収入だけを見て、自己負担が高くなると決めつけないようにしましょう。

参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

家賃・食費・光熱水費などの実費

福祉サービスの自己負担が0円でも、グループホームでの生活費がすべて無料になるわけではありません。

一般的には、次の費用を別に確認する必要があります。

費用項目主な確認内容
家賃部屋ごとの金額、家賃補助適用前後の負担
食費食事の提供回数、欠食時の精算方法
光熱水費定額か実費か、季節による変動
日用品費共用品と個人購入品の範囲
個人の生活費通信費、交通費、衣類、趣味など
その他医療費、保険料、入居時費用など

ホームの料金表に載っている合計額だけでなく、そこに含まれていない支出まで把握することが大切です。医療費や保険料の負担は、本人に適用される制度によっても変わります。

特に食費は、平日の昼食が含まれるか、外泊時にどの費用がかかるかで月々の支出が変わります。見学時に、生活の予定に合った見積もりを依頼しましょう。

併用を検討したい家賃補助・給付金・生活保護

家賃を月額最大1万円軽減する補足給付

グループホームを利用する生活保護世帯・低所得世帯の方には、家賃を対象に月額1万円を上限とする補足給付があります。一般に「特定障害者特別給付費」と呼ばれる制度です。

家賃が1万円以上の場合は上限1万円、1万円未満の場合は家賃の実費が対象になります。例えば、家賃35,000円で1万円の補足給付が適用される場合、補足給付後の家賃負担は25,000円です。

ただし、障害年金を受給している人全員に、自動的に適用されるわけではありません。自分が対象になるか、申請方法、適用開始時期、見積もりに反映済みかを市区町村とホームに確認してください。

自治体独自の助成が設けられている場合もあるため、国の補足給付以外に利用できる支援がないかも相談しましょう。

参考:厚生労働省「障害者の利用者負担」

障害年金生活者支援給付金

障害基礎年金を受給し、所得などの要件を満たす方には、「障害年金生活者支援給付金」が支給されます。2026年度の給付額は、1級が月額7,025円、2級が月額5,620円です。

2026年10月分以降の所得基準は、原則として前年の所得が「4,918,000円+扶養親族の数×38万円」以下です。扶養親族の区分によって加算額が異なり、障害年金などの非課税収入は、この判定に用いる所得には含まれません。

家賃を軽減する補足給付とは別の制度です。年金の通知書などで受給状況を確認し、対象と思われるのに受け取っていない場合は、年金事務所などへ相談しましょう。

参考:日本年金機構「障害年金生活者支援給付金の概要」

年金だけで不足する場合の生活保護

障害年金を受給していても、生活保護の対象になる場合があります。生活保護は、世帯の収入や資産などを確認し、国の基準による最低生活費に収入が満たない場合に、その不足分を支える制度です。

障害年金は生活保護の収入認定の対象になるため、年金と生活保護費をそれぞれ満額受け取れるという意味ではありません。

「年金があるから申請できない」と自己判断せず、生活費が不足する場合は福祉事務所へ相談しましょう。入居予定の家賃が制度上認められる範囲かどうかも、契約前に確認することが大切です。

参考:厚生労働省「生活保護制度」

障害年金だけでグループホームに住める?収支例で確認

月々の支出を具体的に計算する

障害年金だけで暮らせるかは、受給額、ホームの料金、家賃補助、本人の生活費によって変わります。一律に「住める」「住めない」とはいえません。

以下は、障害基礎年金2級を受給し、家賃の補足給付1万円が適用されると仮定した架空の例です。スマイルハウスの料金や全国の平均額を示すものではありません。

支出項目仮の月額
家賃35,000円
家賃の補足給付−10,000円
食費25,000円
光熱水費10,000円
日用品費3,000円
福祉サービスの自己負担0円
ホームに支払う費用の計63,000円

障害基礎年金2級の月額換算約70,608円から63,000円を差し引くと、残りは約7,608円です。障害年金生活者支援給付金の月額5,620円も受給する場合は、合計約76,228円に対し、残りは約13,228円となります。

ここから通信費、交通費、医療費などを支払うため、残額のすべてを自由に使えるわけではありません。支給されるか未確定の給付金は、確実な収入として組み込まないようにしましょう。

毎月の支払いに加えて予備費も確保する

収支が計算上は黒字でも、通院回数の増加、衣類の購入、家電の故障などで支出が重なる月があります。入居時には、引っ越し代や寝具などの準備費用も必要になるかもしれません。

特にペットと暮らす場合は、フードや消耗品に加え、予防接種、予防薬、動物病院の受診費用なども見込んでおく必要があります。

年金だけでは余裕が少ない場合、すぐに入居を諦めるのではなく、料金条件の異なる住まい、利用できる助成、本人に無理のない就労収入などを含めて検討しましょう。体調を崩すほど働くことを前提にせず、継続できる生活設計を優先することが大切です。

働きながら障害年金とグループホームを利用できる?

就労しただけで年金が必ず止まるわけではない

働いていることだけで、障害年金の受給が一律に否定されるわけではありません。精神の障害に関する認定では、仕事内容や勤務状況、職場で受けている援助なども含めて判断されます。

グループホームで暮らしながら、一般企業や就労継続支援事業所などへ通う生活を検討する方もいるでしょう。その際は、仕事の時間だけでなく、通勤の負担や帰宅後の疲労、食事や休息の確保まで考える必要があります。

また、収入の変化により、翌年度以降の住民税の課税状況や福祉サービスの自己負担などが変わる可能性があります。給与の額面だけでなく、生活全体の収支を確認しましょう。

参考:日本年金機構「国民年金・厚生年金保険 精神の障害に係る等級判定ガイドライン」等

20歳前の傷病による障害基礎年金は所得制限に注意

20歳前の、年金制度に加入していない期間に初診日がある場合などの障害基礎年金には、本人の所得による支給制限があります。

2026年10月時点では、扶養親族がいない場合、前年の所得が3,858,000円を超えると年金の2分の1、4,918,000円を超えると全額が支給停止となります。扶養親族がいる場合には基準額への加算があります。

ここでいう「所得」は、給与の額面年収と同じではありません。自分の年金に所得制限があるか分からない場合は、年金証書などを用意して年金事務所に確認してください。

参考:日本年金機構「20歳前の傷病による障害基礎年金にかかる支給制限等」

障害年金とグループホームを併用するまでの流れ

1.受給状況と生活上の希望を整理する

まず、年金証書、年金額改定通知書、給付金の通知書などを確認します。未申請の場合は、受給の可能性や必要書類を年金事務所などへ相談しましょう。

同時に、希望する地域、通院先への距離、日中の過ごし方、必要な生活支援、ペットとの同居希望も整理します。費用の条件と暮らしの希望を一緒に伝えると、相談が具体的になります。

2.市区町村や相談支援事業所に相談する

障害福祉の窓口や相談支援事業所に、グループホームの利用を検討していることを伝えます。サービスの申請、必要に応じた調査や認定、利用計画、支給決定などの手続きは、本人の状況に応じて案内されます。

障害年金と障害福祉サービスは申請先や手続きが異なります。一つの相談をしただけで両方が完了するわけではないため、誰に何を確認するかメモしておきましょう。

3.見学して費用と支援内容を確認する

見学では、部屋の印象だけでなく、職員がいる時間帯、困ったときの連絡方法、服薬や金銭管理の支援範囲などを確認します。体験利用を希望する場合は、実施の有無や費用、必要な手続きも尋ねましょう。

費用は口頭の説明だけで済ませず、家賃補助の適用前後、食費などの精算方法、追加費用を含む書面で確認することをおすすめします。

4.契約前に支払い開始日と資金を確認する

入居日から費用が発生しても、年金の初回振込がまだ先という場合があります。年金を申請中の方は、結果が出るまでの費用をどう確保するか、事前に相談しておくことが必要です。

契約書や重要事項説明書について不明点があれば、その場で説明を求めましょう。本人が理解し、納得して暮らしを選べることが大切です。

ペットと暮らせるグループホームを選ぶときの確認事項

大切なペットとの生活を続けたい方にとって、同居できる住まいかどうかは重要な条件です。ただし、「ペット可」であっても、受け入れ条件や費用、世話の分担はホームによって異なります。

相談時には、次の点を確認しましょう。

  • 同居できる動物の種類、大きさ、頭数
  • 予防接種や健康管理に関する条件
  • ペットに関する追加費用や退去時の費用
  • 飼育できる場所と共用部分の利用ルール
  • 本人の体調不良時や入院時の預け先
  • 鳴き声、におい、アレルギーへの配慮

ペットと一緒に住めることと、職員がペットの世話を代行することは別です。どこまで本人が担い、難しいときに誰へ頼めるのかを具体的に決めておくと、本人とペットの両方が暮らしやすくなります。

スマイルハウスは、ペットと一緒に住めることを特徴とするグループホームです。ペットとの同居を希望される方は、動物の種類や頭数、日頃のお世話の状況を添えてご相談ください。実際の受け入れ条件や費用を確認しながら、ご自身に合う住まいかどうかを検討しましょう。

障害年金とグループホームに関するよくある質問

障害年金を受給していなくても入居できますか?

障害年金の受給は、グループホームの利用に必須の条件ではありません。障害福祉サービスの利用要件や支給決定、ホームの受け入れ条件などを確認します。給与やその他の収入も含め、生活費をどう確保するか相談しましょう。

障害年金があると家賃補助を受けられませんか?

障害年金の受給だけで、家賃補助の対象外になるわけではありません。国の補足給付は生活保護世帯・低所得世帯が対象です。年金の有無だけで判断せず、市区町村で対象要件を確認してください。

障害年金は収入として申告しなくてよいのでしょうか?

障害年金は非課税ですが、「どの制度でも申告不要」という意味ではありません。生活保護など、制度によって収入として扱われる場合があります。書類に年金収入の記入欄がある場合は、案内に沿って申告してください。

参考:日本年金機構「障害年金や遺族年金を受けている人にも公的年金等の源泉徴収票は送付されるのでしょうか。」/厚生労働省「生活保護制度」

グループホームに年金を全額預ける必要がありますか?

入居するだけで、年金を全額預けなければならないというものではありません。金銭管理の支援を利用する場合は、本人の同意、預かる範囲、管理方法、残高や支出の確認方法、費用を確認しましょう。生活費の支払いと金銭管理の依頼は分けて理解することが大切です。

障害年金と支援制度を確認し、自分に合う暮らしを選ぼう

障害年金と障害者グループホームは、原則として併用できます。入居したことだけで、年金が自動的に減額・停止されるわけではありません。

入居を考える際は、受給している年金額を確認したうえで、福祉サービスの自己負担、家賃や食費などの実費、個人の生活費を分けて計算しましょう。家賃の補足給付や障害年金生活者支援給付金など、利用できる制度の確認も欠かせません。

住まい選びでは、毎月の費用に加え、必要な支援を受けられるか、自分らしく過ごせるかも大切です。ペットとの暮らしを希望する方は、その希望も遠慮せずに伝えてください。

スマイルハウスへの相談時には、「障害年金を受給している」「月々の予算を確認したい」「ペットと一緒に暮らしたい」など、現在の状況と希望をお聞かせください。制度については市区町村や年金事務所にも確認しながら、無理のない暮らしを具体的に考えていきましょう。

投稿者プロフィール

スタッフ森
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スマイルハウスのスタッフ森です。施設内の様子など定期的に投稿していきます。