障がいのある子どもの「親なき後」に備えるには?今からできる7つの準備と将来の住まい
「自分たちがいなくなったあと、この子はどうやって暮らしていくのだろう」
障がいのあるお子さんを育てているご家族にとって、「親なき後」は大きな心配事のひとつではないでしょうか。
住む場所はどうするのか。生活費は足りるのか。困ったときには誰に相談すればいいのか。病気になったときや、契約・お金の管理が必要になったときはどうするのか。
考え始めると、次々と不安が出てくるかもしれません。
しかし、「親なき後」への備えは、親御さんがすべてを一人で準備することではありません。
大切なのは、本人が家族以外の人や福祉サービス、地域とつながりながら生活できる環境を、少しずつつくっていくことです。
この記事では、障がいのあるお子さんの「親なき後」に向けて、今から考えておきたいことを「住まい」「お金」「生活」「支援」「制度」の視点から分かりやすく解説します。
「親なき後」とは?
「親なき後」という言葉から、「親が亡くなったあとのこと」をイメージする方は多いでしょう。
しかし、実際にはそれだけではありません。
親御さん自身が高齢になったり、病気や入院などによって、これまでと同じようにお子さんを支えることが難しくなる可能性もあります。
つまり、「親なき後」への備えとは、
親が元気なうちから、親だけに頼らなくても本人らしく暮らしていける環境を整えていくこと
ともいえます。
そのため、準備を始めるタイミングに「まだ早すぎる」ということはありません。
むしろ、時間に余裕があるうちから少しずつ経験を重ねることで、本人に合った生活の形を見つけやすくなります。
「親なき後」に家族が心配する5つのこと
ご家族が感じる不安は、それぞれ異なります。
なかでも「親なき後」を考える際には、次の5つを整理しておくことが大切です。
1.住む場所
最初に考えておきたいのが、「将来どこで暮らすのか」です。
現在は家族と一緒に暮らしていても、将来的には、
- グループホーム(共同生活援助)
- 一人暮らし
- 福祉施設
- きょうだいや親族との生活
など、さまざまな選択肢があります。
重要なのは、親御さんだけで将来の住まいを決めてしまうのではなく、本人の希望や特性、必要な支援を考えながら選択していくことです。
特にグループホームは、障がいのある方が必要な支援を受けながら地域で共同生活を送る「住まい」の選択肢のひとつです。
食事や生活上の相談などのサポートを受けながら暮らせるため、「将来の自立した生活を考えたい」というご家族にとって、検討する選択肢のひとつになるでしょう。
2.生活に必要なお金
「自分がいなくなったあと、子どもの生活費は大丈夫だろうか」
経済面も大きな不安のひとつです。将来のお金を考えるときは、単純に「いくら残せばいいのか」だけを考えるのではなく、
毎月どのくらいのお金が必要で、どのような収入や制度を利用できるのか
を整理することが重要です。
たとえば、
- 障害年金
- 就労による収入
- 各種手当
- 預貯金
- 生命保険
- 障害者扶養共済制度
- 相続・遺言
- 信託などの仕組み
を組み合わせて考える方法があります。
「障害者扶養共済制度(しょうがい共済)」は、障がいのある方を扶養している保護者が掛金を納め、保護者が死亡した場合などに、障がいのある方へ一定額の年金が生涯にわたり支給される制度です。
ただし、利用できる制度や必要な準備は本人・家族の状況によって異なります。
早い段階で自治体の相談窓口や相談支援専門員、必要に応じて社会福祉士・司法書士・弁護士・ファイナンシャルプランナーなどの専門家へ相談しておくと安心です。
3.お金や契約の管理
生活費とは別に考えておきたいのが「財産管理や契約」です。
たとえば、
「銀行で必要な手続きができるだろうか」
「福祉サービスや住まいに関する契約はどうするのか」
「大きなお金を本人だけで管理することが難しい場合はどうするのか」
といった問題があります。
本人の判断能力や必要な支援によっては、成年後見制度などの利用を検討する場合があります。
成年後見制度は、知的障がい・精神障がい・認知症などによって一人で契約や手続きを行うことに不安がある方を支えるための制度です。
ただし、制度にはそれぞれ特徴があり、「親なき後だから成年後見制度を利用すればいい」と一律に考えるものではありません。
本人の意思を大切にしながら、どのような支援が必要なのかを専門家と一緒に検討することが重要です。
4.困ったときに頼れる人・場所
実は「親なき後」の準備で、お金や住まいと同じくらい重要なのが人とのつながりです。
親御さんが元気な間は、
「体調がいつもと違う」
「今日は少し元気がない」
「この言い方をすると伝わりやすい」
といった本人の小さな変化や特徴を、家族が自然に理解していることがあります。
しかし、その情報が家族の中だけにあると、親御さんが支援できなくなったとき、周囲の人が困ってしまう可能性があります。
そこで、
- 相談支援専門員
- グループホームなどの福祉事業所
- 日中活動先
- 就労支援事業所
- 医療機関
- 行政
- 地域の支援機関
- 親族やきょうだい
など、本人を支えてくれる人とのつながりを少しずつ増やしておくことが大切です。
「家族しか本人のことを分からない状態」から、
「本人のことを理解してくれる人が地域に何人もいる状態」
へ変えていくことが、大切な備えになります。
5.本人の希望
そして、忘れてはいけないのが本人の気持ちです。
親御さんが心配するあまり、
「この子には一人暮らしは無理だろう」
「グループホームのほうが安心だろう」
と、家族側だけで将来を決めてしまうことがあります。
しかし、障がいがあるかどうかにかかわらず、暮らしの主人公は本人です。
「どんな場所で暮らしたい?」
「どんなことをして過ごしたい?」
「一人で過ごすのが好き?誰かと一緒が安心?」
など、本人が答えられる形に合わせて、少しずつ希望を確認してみましょう。
言葉で意思を伝えることが難しい場合でも、普段の表情や行動、好き嫌いなどから本人の意思をくみ取っていくことができます。
「親なき後」に向けて今からできる7つの準備
では、実際に何から始めればいいのでしょうか。
すべてを一度に準備する必要はありません。できることから、一つずつ始めてみましょう。
① 本人の情報を整理する
まずおすすめしたいのが、「本人について家族しか知らないこと」を書き出してみることです。
たとえば、
- 障がいや病気について
- 服薬している薬
- かかりつけ医
- 緊急連絡先
- 好きなこと・苦手なこと
- 食べられないもの
- コミュニケーション方法
- 不安になりやすい状況
- 落ち着く方法
- 一人でできること
- サポートが必要なこと
- お金の管理方法
- 利用している福祉サービス
などです。
こうした情報を「サポートブック」やノートとして残しておけば、将来支援する人が変わったときにも、本人について理解する大切な手がかりになります。
一度作って終わりではなく、本人の成長や生活の変化に合わせて定期的に更新していきましょう。
② 家族以外に相談できる人をつくる
本人にとって「困ったら親に相談する」ことが当たり前になっている場合、親御さんが支援できなくなったときに大きな変化が生じます。
そのため、親御さんが元気なうちから、
家族以外の人に相談する経験
を少しずつ増やしておくことも大切です。
相談支援専門員や福祉事業所のスタッフなど、継続的に本人を知ってくれる支援者との関係をつくっておきましょう。
地域には、障がいのある方の重度化・高齢化や「親なき後」を見据え、緊急時への対応などを行う「地域生活支援拠点等」という仕組みもあります。
自治体によって体制が異なるため、お住まいの市区町村の障がい福祉担当窓口や相談支援事業所などへ確認してみるとよいでしょう。
③ 将来必要なお金を「見える化」する
漠然と「お金が心配」と考えていると、不安はなかなか小さくなりません。
まずは、
現在の1か月の生活費を把握すること
から始めてみましょう。
食費、住居費、水道光熱費、通信費、医療費、日用品費、趣味・娯楽費などを書き出します。そのうえで、障害年金や給与など、将来想定される収入と比較します。
不足する金額が見えてくれば、「どの程度準備しておく必要があるのか」を具体的に考えやすくなります。
④ 将来の住まいを早めに見ておく
グループホームなどの住まいを検討する場合、
「必要になってから探す」のではなく、元気なうちに見ておく
ことをおすすめします。
ホームページやパンフレットを見るだけでは、実際の暮らしはなかなか分かりません。
可能であれば見学などを通して、
「どんな人が暮らしているのか」
「スタッフはどのように関わっているのか」
「どのような生活を送っているのか」
「本人がここで安心して過ごせそうか」
を確認してみましょう。
本人にとっても、家族以外の人と過ごしたり、いつもと違う場所で生活したりする経験が、将来への大切な一歩になることがあります。
⑤ 「小さな自立」を少しずつ増やす
自立というと、「何でも一人でできるようになること」と思われがちです。
しかし、本当の意味での自立は、すべてを一人で行うことではありません。
必要なときに周囲の力を借りながら、自分らしく生活することも自立の形です。
たとえば、
- 自分で服を選ぶ
- 自分で買い物をする
- お金を払う
- 家事の一部を担当する
- 困ったときに「助けて」と伝える
- 自分の希望を伝える
など、日常生活の小さな経験を積み重ねていきます。
「できないことをできるようにする」だけではなく、「どんな支援があればできるのか」を知ることも大切です。
⑥ 緊急時について考えておく
「親なき後」だけではなく、「親が突然入院したら」というケースも考えておく必要があります。
親御さんが体調を崩したとき、
「本人はどこで過ごすのか」
「誰に連絡するのか」
「必要な薬や持ち物は何か」
を整理しておきましょう。
緊急時の連絡先や利用できる福祉サービスについて、相談支援専門員や自治体へ事前に相談しておくことも備えのひとつです。
⑦ 親が元気なうちに「家族以外と暮らす経験」を考える
「親なき後」を考えるとき、住まいの準備を最後まで先送りしてしまうケースがあります。
しかし、長年家族と暮らしてきた本人が、ある日突然まったく違う環境で生活を始めることは、大きな負担になる場合があります。だからこそ、親御さんが元気でサポートできるうちに、本人に合った住まいや支援について考えておくことが大切です。
グループホームの見学などを通して、
「本人はどんな環境なら安心して暮らせるのか」
「どの程度のサポートが必要なのか」
を家族と支援者が一緒に考えていきましょう。
「親なき後」は、親だけで抱え込まなくていい
「自分がこの子を一生守らなければ」
そう考えている親御さんも少なくないかもしれません。
もちろん、家族だからこそできる支援はたくさんあります。
しかし、将来に向けて本当に大切なのは、親御さん一人がすべてを背負うことではありません。
福祉サービス、相談支援、行政、医療機関、地域、そして住まい。さまざまな人や仕組みとつながりながら、
「家族だけで支える生活」から「地域と一緒に支える生活」へ少しずつ移行していくこと
が、親なき後への大きな備えになります。
まとめ|「親なき後」の準備は、本人らしい暮らしを考えることから
障がいのあるお子さんの「親なき後」を考えると、
「自分たちがいなくなったら、この子はどうなるのだろう」
「生活やお金は大丈夫だろうか」
「安心して暮らせる場所は見つかるだろうか」
と、不安を感じるご家族も少なくありません。
しかし、「親なき後」のすべてを一度に準備する必要はありません。
大切なのは、親御さんが元気なうちから、
- 本人がどのような暮らしを望んでいるのかを考える
- 本人の情報を整理しておく
- 家族以外にも相談できる人をつくる
- 将来必要になるお金や利用できる制度を確認する
- 日常生活の中で小さな自立経験を増やす
- 緊急時に頼れる人や場所を確認する
- 将来の住まいについて考えておく
といった準備を、できるところから少しずつ進めていくことです。
「親なき後」への備えとは、親御さんがいなくなった後の生活だけを準備することではありません。
本人が家族以外の人や地域とつながり、必要なサポートを受けながら、自分らしい暮らしを続けていける環境をつくっていくことでもあります。
そして、その中でも早いうちから考えておきたいことのひとつが「将来の住まい」です。
将来の住まいの選択肢として、グループホームを知っておく
障がいのある方の将来の住まいには、一人暮らしや家族・親族との生活、グループホームなど、さまざまな選択肢があります。
どれが正解というものではなく、本人の希望や特性、必要な支援によって適した暮らし方は異なります。
だからこそ、必要になってから急いで探すのではなく、親御さんが元気なうちから選択肢を知り、実際の生活環境を見ておくことも「親なき後」に向けた準備になります。
「まだ入居は考えていない」という段階でも、グループホームを見学したり、話を聞いたりすることで、
「本人はどんな環境なら安心できそうか」
「どの程度のサポートが必要なのか」
「本人はどんな暮らしをしたいのか」
を考えるきっかけになります。
保護された犬や猫と暮らせる障がい者グループホーム「Smile House」
Smile Houseは、障がいのある方が必要なサポートを受けながら地域で暮らすためのグループホームです。
特徴のひとつが、保護された犬や猫と一緒に暮らせること。また、ご自身の大切なペットと一緒に入居することもできます。
動物が好きな方にとって、犬や猫のいる環境で暮らすこと。
すでにペットと生活している方にとって、大切な家族であるペットとの暮らしを続けること。
そうした希望も、「将来どこで暮らすか」を考えるうえで大切な要素のひとつです。
グループホームを選ぶ際には、支援内容や費用、立地だけではなく、「そこでどんな毎日を送りたいのか」という本人の希望にも目を向けてみてください。
「グループホームについて知りたい」
「保護犬や保護猫と暮らす環境を見てみたい」
「今飼っているペットと一緒に入居できるか相談したい」
「今すぐではないけれど、親なき後に備えて将来の住まいについて相談したい」
そんな段階からでも、将来の選択肢を知ることはできます。
将来のことだからこそ、必要になってからではなく、時間に余裕のある今から。
本人が安心して、その人らしい暮らしを続けられる住まいについて考えてみませんか?
▶ Smile Houseのグループホームについて詳しく見る
投稿者プロフィール

- スマイルハウスのスタッフ森です。施設内の様子など定期的に投稿していきます。
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